輪読、続いています。 先週は、表題のエッセーを読みました。
須賀敦子の「ミラノ霧の風景」12作品、 どれを読んでも深く心に落ちるのだけれど、 この作品の主人公マリアがいなかったら、 須賀敦子はイタリアに行かず、 私がのちに須賀敦子を読むこともできなかったかもと・・思った作品でした。
日本を出て40日目の1953年8月10日の朝、 貨物船でイタリア・ジェノワに上陸した敦子を迎えてくれたのが、マリアだった。
ジュノワ経由でパリに向かう敦子を迎え、駅まで送り、パリで心細い留学生生活をはじめた敦子に手紙をくれた人。
敦子24歳、マリアは48歳くらい。
敦子はフランス留学の夏休みを利用してペルージャにやってきてイタリア語を習得する。 留学生は2つの言語を習得しなくてはいけないらしい。 留学生活の節目にマリアは敦子を支援してくれていた。
そのマリアが80歳になって、日本へやってくる。
三週間の共同生活のおしまいになって、敦子にたずねられて、マリアはその人生を語る。
母がユダヤ人だったこと、人に頼まれてパルチザンの男を自宅に泊めたこと。 男はつかまり、マリアはドイツの収容所に移送される。 さまざま、ヨーロッパの歴史を凝縮しているようなマリアの人生を知る。
私はマリアが日本へ来てくれてよかったと思う。
マリアとの出会いが、後々、イタリアのこと、出会った人のことを敦子が書く一助になったに違いないと思う。
マリアがいてくれたから、 私は須賀敦子の作品に出会えたと思ったのでした。
輪読では、敦子の気持ちになったり、マリアの気持ちになったり、ヨーロッパの歴史をちょっと知ったりする。 輪読はいいなあと思うのでした。
作品と離れておしゃべりも楽しい時間です。 ちょうど満月の日で、ハーベスト・ムーン(9月の満月の名)を教えていただきました。
10月は、ハンターズ・ムーンと教えていただきました。 私は、ローマのボルゲーゼ美術館などのおしゃべりをしました。
10月5日は、ざっくばらんに、「旅で出会ったおいしいもの」で雑談会です。
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